Founder to Architect
Wealth Guide 01

創業者から、
建築家へ。

事業経営(P/L)の成功を、一族の永続的な資産(B/S)へ。
エグジット後の「喪失感」を、新たな「人生の創造」へと変えるための包括的ガイド。

01. The Paradigm Shift

P/L経営から、B/S管理への転換

日本のM&A市場の成熟により、事業売却は「創業者利益の確定」および「企業の成長戦略」として肯定的に捉えられるようになりました。 しかし、長年培われた事業経営(P/L)の卓越したスキルを持つオーナーであっても、個人のバランスシート(B/S)管理という全く異なる領域では、新たな課題に直面します。

支配権を有していた「自社株」が、流動性は高いがインフレリスクに晒される「現金」に変わる時、多くのオーナーは「サドン・ウェルス・シンドローム(突然の富による混乱)」や、社会的役割の消失による「アイデンティティ・クライシス」を経験します。 本ガイドは、金融資産の管理だけでなく、税務・法務・ライフスタイルを統合し、あなたが一族の未来を設計する「建築家(Architect)」となるための道筋を示します。

02. The 3 Buckets Strategy

心の錨となる、資産の仕分け

巨額の現金を前にした時、最初に行うべきは「リスク許容度の再定義」です。行動ファイナンスの観点から、資産を「目的」別に3つのバケツに分類します。

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Security Bucket

目的
生活防衛・緊急予備資金
目安
今後50年分の生活費 + 医療・介護費
運用指針
元本確保最優先。インフレに負けない程度の保守的な運用(国債、高格付社債など)。

心理的なアンカー(錨)となり、市場暴落時でもパニック売りを防ぐための土台です。

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Growth Bucket

目的
資産の実質価値(購買力)の維持・拡大
目安
SecurityとLegacyを除いた残余資産
運用指針
世界経済の成長を取り込む。株式、投資信託、債券による分散投資(コア・サテライト戦略)。

インフレリスクに対抗し、資産寿命を延ばすためのエンジン部分です。

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Legacy Bucket

目的
次世代承継・社会貢献・自己実現
目安
ご自身の一代では使い切らない余剰資金
運用指針
超長期視点。流動性を犠牲にして高いリターンを狙う(PE、エンジェル投資、財団設立)。

オーナーの「生きた証」を残す領域です。相続対策とも密接に連動します。

03. Tax & Legal Structure

資産管理会社と家族信託による「要塞」の構築

資産管理会社(プライベートカンパニー)の戦略的活用

日本の所得税・住民税の最高税率は約55%、相続税も最大55%です。個人保有のままでは資産は三代で消滅します。「法人格」という盾を活用し、手残り資産を最大化します。

比較項目 個人保有 法人保有(資産管理会社)
適用税率 超過累進税率 最大約55% 実効税率 約23%〜34%
経費範囲 限定的 役員報酬、社宅、車両、保険等、広範
損失繰越 3年間 10年間
相続評価 時価評価(100%) 株式評価(含み益に対し法人税相当額37%控除可)

高等戦術:「役員借入金」スキームによる資金還流

M&Aで得た個人の現金を、資本金ではなく「役員借入金(法人から見た借金)」として法人に入れる手法です。

  • 相続財産の固定化: 法人が運用で利益を出して資産価値が上がっても、オーナーの相続財産は「貸付金の額面金額」のまま固定されます。
  • 非課税での還流: 法人からオーナーへの支払いは「借入金の返済」となるため、所得税・住民税・社会保険料がかかりません。最も効率的に手元資金を回収できる手法です。
Note

組織形態は、設立コストが安く、定款自治により「出資比率と議決権の分離」が可能な合同会社(LLC)を推奨するケースが増えています。

民事信託(家族信託)による承継設計

高齢化するオーナーにとって、資産管理会社と並ぶ必須のツールが「信託」です。

1. 認知症による「資産凍結」の完全回避

オーナーが判断能力を喪失すると、預金引出や不動産売却、議決権行使が法的に不可能になります。成年後見制度は制約が多いため、元気なうちに「家族信託」契約を結び、受託者(子など)に管理権限を移しておくことが唯一の完全な防衛策です。

2. 遺言を超える「受益者連続型信託」

通常の遺言では「妻の次は長男へ」といった二次相続以降の指定は無効です。しかし信託であれば、「妻→長男→孫」と数世代先まで資産の承継先を指定可能(超遺言効果)。これにより、配偶者の親族への資産流出を防ぎ、直系血族への承継を確実にします。

04. Portfolio Strategy

機関投資家レベルの「コア・サテライト戦略」

エグジット後の運用は「増やす」以上に「守りながらインフレに勝つ」ことが重要です。ポートフォリオを「守り(コア)」と「攻め(サテライト)」に分解し、プライベート市場の民主化の恩恵を最大限に活用します。

Core Assets 守り

役割:安定的なインカム創出とインフレヘッジ

  • グローバル高格付債券 (IG): 為替ヘッジを適切に組み合わせ、安定した利金(インカム)を確保。
  • 全世界株式インデックス: 世界経済の成長を取り込み、長期的な資産価値保全を図る。

Satellite Assets 攻め・分散

役割:分散効果の向上と、市場平均以上のリターン追求

  • プライベート・エクイティ (PE): BlackstoneやKKR等のトップティア・ファンドへ投資。非流動性プレミアムを享受。
  • プライベート・デット (PD): 企業への直接融資。変動金利型が多く、金利上昇局面に強いミドルリスク・ミドルリターン資産。
  • 実物不動産: インフレヘッジの王道。資産管理会社で保有し、相続税評価額の圧縮効果も狙う。

05. Global & Human Capital

国境を超えた資産防衛と、人的資本への投資

究極の選択肢「海外移住」と「1億円の壁」

資産規模が数億円〜数十億円に達する場合、キャピタルゲイン課税ゼロ、相続税ゼロの国(シンガポール、ドバイ等)への移住が視野に入ります。しかし、出国時に1億円以上の有価証券等を持っていると、含み益に課税される「国外転出時課税制度(出国税)」の壁があります。

対策: 出国前に資産を組み替えて対象資産を1億円未満にするか、将来的な帰国を前提とした「納税猶予制度(最長10年)」を活用する高度なプランニングが必要です。

人的資本への投資:健康と教育

資産防衛の先にあるのは、オーナーご自身とご家族のQOL(Quality of Life)です。

  • 命のセカンドオピニオン: 「グランドハイメディック倶楽部」等の会員制検診クラブにより、最高峰の予防医療と、万が一の際の大学病院専門医へのホットラインを確保します。
  • 次世代教育: 「ル・ロゼ」や「ボー・ソレイユ」など、スイスの名門ボーディングスクールへの留学を支援。世界中のロイヤルファミリーや超富裕層とのネットワークは、お子様にとってプライスレスな資産となります。

Execution Roadmap

実行へのロードマップ

01

現状分析・ゴール設定

資産の棚卸しと、3つのバケツへの分類。ライフプランのヒアリング。

02

ストラクチャー構築

資産管理会社設立、役員借入金スキーム実行。家族信託契約の締結。

03

ポートフォリオ構築

コア資産の配分決定。オルタナティブ投資(PE/PD)へのコミットメント。

04

ライフデザイン実行

メディカルクラブ入会、留学・移住準備、遺言・財団設立等のレガシー策定。

未来の設計図を、共に描きましょう。

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